こんにちは!現役作業療法士の「ユウダイ」と申します!
現在に至るまで,作業療法士として病院,障害者施設に計5年間勤務させていただいております.
学生時代は成績優秀生と表彰されるほど勉強に打ち込みました!
私の記事では国家試験を解くためのポイントを解説させていただきます!
~本記事の読み方~
~本日の内容~
認知症に関する過去問を解けるようになる
認知症の基本的な症状を抑える
認知症の分類を抑える
近年出題の多いMCIについて知る
記事の最後には過去問をたくさんご用意していますので,気になる方は一番下までスクロールしてください.
認知症とは
認知症とは「一度発達した知的機能が脳機能の損傷により失われ生活が困難になった状態」と言われています.
ポイントは「一度発達した」という点です.つまり,元々あった能力が何らかの原因により失われることによって認知症になるのです.また,知的機能=高次脳機能と考えて頂いて大丈夫です.
症状
症状は中核症状とPBSD(周辺症状/行動心理学的症状)の2種類に分かれます.
中核症状は,すべての認知症でおこる症状とされています.
BPSDは,必ずしもおこるとは限らない症状です.
BPSDは,治療可能です.
①記憶障害
②見当識障害
③失語
④失認
⑤失行
⑥遂行機能障害
遂行機能障害は「買い物をしたり,料理を作ったり,季節・場面に合った服装を選ぶのが難しくなること」と考えると簡単です.
行動症状
徘徊・暴言・暴力・不潔行為・脱抑制・異食
精神症状
妄想・作話・幻視・焦燥・不安・抑うつ・興奮・せん妄・人物誤認・睡眠障害
性格変化
帰宅願望・自発性低下・介護拒否・易怒性・疑い深い
BPSDの一つである妄想はよく出題される範囲になりますので抑えておきましょう.
~認知症の特徴的な妄想~
物取られ妄想…あるはずの無い財布を「ここに置いていた財布をあいつに盗まれた」と訴える
被害妄想…別の人の会話を見て「私の悪口を言ってる」と訴える
替え玉妄想…家族の面会にて「あれは私の家族じゃない!本当の家族を呼んで」と訴える
いずれも記憶障害を原因として出現する妄想です.
分類
認知症とは「一度発達した知的機能が脳機能の損傷により失われ生活が困難になった状態」とお伝えしました.
その失われる原因により認知症は4種類に分類されます.
- アルツハイマー(Alzheimer)型認知症
- 前頭側頭型認知症(≒Pick病)
- レビー(Lewy)小体型認知症
- 脳血管性認知症
それぞれの特徴を捉えていきましょう
特徴や特有の症状は国家試験で問われやすいポイントになります.
アルツハイマー型認知症
- 原因:大脳へのアミロイドβ蛋白の沈着(特に側頭葉 海馬のある位置)
- 性差:女性に多い
- 進行の仕方:緩徐進行性(ゆっくりと進行)
- 初期症状:前向性健忘,遂行機能障害
- 時間の見当識から障害されやすい
- 人格・礼節:晩期に崩壊される(最期まで保たれやすい)
- 取り繕い:分からない会話でも取り繕って会話を成立させます.
- 反響言語:他者が話した言葉を繰り返し発すること.

反響言語では「こんにちは」といった挨拶を繰り返し行う様子が見られます.自分が挨拶をしたという事実をわすれて何度も言ってしまうのかな.
前頭側頭型認知症
- 原因:前頭葉と側頭葉の変性
- 性差:男女差なし
- 進行の仕方:緩徐進行性(アルツハイマー型より早い)
- 初期症状:行動・人格障害,注意機能障害,記憶障害は軽度
- 脱抑制
- 常同行動≒時刻表的行動
- 考え無情:質問や検査に真面目に取り組まず「わからない」と即答する
- 反社会的行動
- 立ち去り行為
- 多幸的
- 滞続言語:何を聞いても繰り返し同じ語句を答える

患者さんにお昼ごはんを話を聞いても「食べたよ」としか答えてくれませんでした.答えるのが面倒くさかったのかな?そういう印象を受けました.
レビー小体型認知症
- 原因:大脳の変性(原因物質はレビー小体)
- アルツハイマー型より後頭葉・脳幹の変性が優位である
- 性差:男女差なし
- 進行の仕方:動揺性(悪くなったり良くなったり)
- 初期症状:抑うつ,レム睡眠行動障害(夜間突然叫ぶ等),嗅覚障害,便秘
- 幻視:後頭視覚野の変性から特異的に出現する
- 視覚認知障害:同じく後頭視覚野の変性に起因する
- 妄想の合併が多い
- パーキンソニズム:症状の日内変動,筋強剛と寡動、小刻み歩行・すくみ足といった歩行障害が特徴

視覚症状とパーキンソニズムが特徴的ですね.レビー小体はパーキンソン病の原因物質ともされてますね.中脳が損傷されることによってパーキンソン病になってしまう可能性があります.
脳血管性認知症
- 原因:脳血管障害によって引き起こされる.損傷部位は様々.
- 性差:男性に多い(高血圧・糖尿病・心疾患など基礎疾患を有することが多いのは男性)
- 進行の仕方:階段状
- 脳血管の障害により,認知症の特有が出現する
- まだら認知症:脳血管障害の損傷部位に応じて違う症状が出現
- 抑うつ:ある日突然悪化するなど進行を感じることから精神的な負担も強い.
- 感情失禁
- 人格・礼節は保たれやすい
- 脳血管性パーキンソニズム:症状の日内変動,歩行障害が特徴

高血圧・糖尿病・心疾患といった基礎疾患は男性に多い生活習慣病の一つだね.男性に脳血管性認知症が多い理由がわかりますね.
認知症は損傷部位によって分類されます.つまり脳損傷部位とその部位で出現する高次脳機能障害を知ることで認知症の問題は解きやすくなります.
軽度認知症(MCI)
軽度認知症(MCI;Mild Cognitive Impairment)とは,認知症ではないが正常でも無い状態を指します.認知症は我が国における要支援・要介護の原因第1位でなのです.認知症の前段階であるMCIの発見・治療が我が国の重要課題となっています.
- 客観的な認知障害がある
- 自覚する認知障害がある
- 日常生活能力は維持されている
- 手段的(買い物・調理などの)日常生活能力は障害されていても軽度
- 有病率:65歳以上の高齢者で13%(認知症は15%)
- 治る可能性がある:5年後に38%の人が正常に移行
- 年間10%~15%の人が認知症に移行(正常な人は1%が認知症に移行)
MCIのうち約50%がアルツハイマー型認知症に移行するとされています.残り20%がレビー小体型認知症に移行,15%が脳血管性認知症に移行します.約7%は前頭側頭型に移行とされています.これらは正確なデータは見つかりませんでしたので,国家試験を解く上での目安としてください.
まとめ
認知症に関するOT・PTの試験では基本知識が問われやすいです.
認知症は分類ごとに特徴があり,問題を作りやすい分野になっております.
それ故,認知症に関する問題は毎年出題されているためしっかり点数を確保するべきポイントです.
次のページに関連する過去問と解説を掲載していますのでご利用ください.
過去問
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