作業療法って知ってますか?

作業療法とは?

はじめまして!現役作業療法士の「ユウダイ」と申します!
現在に至るまで,作業療法士として病院,障害者施設に計5年間勤務させていただいております.

この記事では「作業療法って?」「どんな仕事?」「お給料は?」「どうやってなるの?」
といった作業療法士を目指そうとしている皆さんの疑問にお答えしたいと思います.

作業療法とは?(簡単に)

作業療法は「病気や怪我で失われた生活を取り戻す手段を提供する仕事」です.

その方法は様々ありますが,病院で行われる「リハビリテーション」がその一つです.
そのリハビリテーションを行う人が「作業療法士」と呼ばれます.

さて,この記事を読んでいる皆さんは,作業療法について調べてくれていると思います.すると,下に書いたような日本作業療法士協会の「定義」や,病院・学校のホームページでの説明が見つかると思います.

作業療法は、人々の健康と幸福を促進するために、医療、保健、福祉、教育、職業などの領域で行われる、作業に焦点を当てた治療、指導、援助である。作業とは、対象となる人々にとって目的や価値を持つ生活行為を指す。

一般社団法人日本作業療法士協会ホームページより引用

正直,一般の方がこれを読んでも作業療法って結局何や?となると思います.

わかりやすく説明します.
作業療法は,体の病気心の病気により今までの生活が難しくなったひとに対して行われるのです.

  • 「お箸を持てなくなったひとへ指先の細かい動きの練習
  • 「自分でお風呂に入るために手すりの設置場所の提案
  • 「お金が掴めなくなった人に対して電子マネーの使い方を指導
  • 「アルコール依存症の方への断酒プログラム
  • 「指が曲げにくい人に対して装具の作成
  • 「認知症予防のための集団レクリエーション

上に書いたようなリハビリテーションが作業療法です.
家事仕事遊びの練習や指導,時には生活環境の変更を行います.
つまり日常生活,仕事,楽しみをもう一度行うための手段を提供する仕事なのです.

他にも,今までの生活をもう一度行えるようにするための手段はたくさん考えられます.
どの手段を使ってリハビリテーションを行うかが,作業療法士の腕の見せどころになります.

もちろん,怪我や病気になった人に関わるので医療に関する専門的な知識が必要になります.

理学療法との違いは?

病院でリハビリテーションを行う職業としてもう一つ「理学療法士」という職業を聞いたことがあるでしょうか.

理学療法士は怪我や病気になったひとに対して運動や電気刺激といった物理的手段を用いて体の機能の回復を図る仕事といわれています.

  • 理学療法「失われた体の機能の回復を図る仕事
  • 作業療法「失われた生活を取り戻す手段を提供する仕事

両者ともに目的が違っても対象者さんのより良い生活を目指したリハビリテーションを行っています.
もちろん,作業療法士がもとの生活を送る手段として体の機能の回復を図る練習を行うこともあります.

ちなみに,「理学療法とどう違うの?」という質問は実際に働いていてもよくされる質問です.
現役の療法士でさえ答えられないことがありますので間違った情報に注意しましょう.

仕事内容は?

「対象者さんの良い点・問題点を抽出し,良い点を活用したり・問題点を治すリハビリを考えて提供する」のが作業療法士の仕事内容です.といっても難しいと思います.

私の働いている病院での仕事内容をまとめましたので御覧ください.

  • 08時30分:カルテの確認・1日の予定の確認
  • 09時00分:《1人目》立ち座りなどトイレの練習
  • 10時00分:《2人目》指先の運動お箸を持つ練習
  • 11時00分:《3人目》集中力・記憶力の検査
  • 12時00分:【休憩】
  • 13時00分:《4人目》お金の計算・買い物の練習
  • 14時00分:《5人目》記憶障害の患者さんと日記の作成
  • 15時00分:【主治医・看護師・理学療法士・医療相談員とカンファレンス
  • 16時00分:《6人目)骨折した人への自主トレーニング指導

すきま時間に

  • 患者さんの病状の整理
  • リハビリの計画を立てる
  • リハビリの説明書など書類の作成
  • 後輩の指導・実習生の指導
  • リハビリに関する勉強,技術獲得のための練習

必要に応じて

  • 家族への介護方法の指導
  • 家屋訪問にて患者さんの住宅環境の調査
  • 食事が自分でできない患者さんに対して食事環境の調整

など対象者さんが日常生活をもう一度行えるように介入させていただきます.

病院でのリハビリテーションは上に書いたような内容になりますが
勤務先によっては集団でリハビリテーションを行ったり,直接自宅に訪問してリハビリテーションを行ったりします.

あと忘れてはいけないことは,作業療法士は知識と技術に関して、つねに最高の水準を保つ必要があります.そのために病院での仕事以外にも,研修会などへ参加することも仕事のひとつです.新型コロナウイルスの影響により,研修はオンラインでの開催が中心になっております.

いずれにしても対象者さんの

「大切なことを知る」
「良い点・問題点を見極める」
「問題を解決するための手段を提供する」

「その人にとって大切な作業を実現する」

これらが作業療法士にとって重要な仕事になります.

就職先は?

勤務先はほとんどが病院です.新卒の学生さんは90%以上が病院に就職します.
ほかにも、障害者施設障害児通所・入園施設老人保健施設訪問介護事業所保健所養成校などがあります.
近年は病院以外にも小学校幼稚園保育所刑務所市役所自動車教習所一般企業など雇用範囲の拡大傾向にあります.

2021年現在,高齢者の増加・雇用範囲の拡大から全国的に需要が増えているのにも関わらず人材が不足している状態です.全国では,作業療法士1人に対して4件以上の求人が見込まれます.

給料は?

厚生労働省の発表では平均年収409.6万円(出典:令和元年賃金構造基本統計調査)
ハローワークの求人月収25.8万円(令和元年)
一般的なサラリーマンの平均年収は約370万円とされています.

では,実際の給与はどうでしょうか.
病院に勤務する私の給料明細を御覧ください

毎月の給与
ボーナス月

諸経費が引かれて約20万円が手取りとなります.大卒4年目の給料です.
賞与(ボーナス)×2回を合わせて計算すると年収約330万くらいになります.
(個人情報を守るため一部改変してます)
少なく感じましたか?
しかし,病院は住宅・医療・時短・保育・研修費補助など福利厚生が充実していることが多いです.
毎年の昇給賞与が加わることを考えると満足行くのではないでしょうか.
また,転職した際も経験年数を加味した上で給料が上乗せされるのが基本となってます.

作業療法士になるには?

医療に関する専門的な知識が必要なため,免許資格制が採用されています.

つまり受験資格を得て国家試験に合格する必要があります.

  • 受験資格養成校(大学、短大、専門学校)を卒業する
  • 国家試験:受験資格を得た上で毎年2月に行われる国家試験に合格する

国家試験は,一度受験資格を得ていれば何度でもチャレンジ可能です.
つまり卒業すれば何度でも受験可能なのです.

卒業して受験資格を得るには,病院での実習を合格する必要があります.
コロナ禍でも実習は行われています.
ただし,近年は殆どの実習先で臨床参加型実習(CCS)という実習生の無益な負担を減らすスタイルに変化しており,病院での実習が進学の合否に関わることは少なくなってます

また,学校によっては卒業試験が実施されることがあります.
殆どは学校の掲げている国家試験合格率を低下させないための関所のようなものなのです.
どういうことかというと,「うちの学校の国試合格率下がるから,学力の低い学生は卒業させたくない!!」ということです.*新卒生の合格率の高さの秘密はここにあります.
ですが,卒業試験の難易度はそれほど高くないので国家試験に合格する程度の学力があれば問題ありません.

*新卒生の合格率は約80~95%となっております.それに対し既卒生は30%~60%です.

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